着脱式メタルマスク「疾風」の全貌|メイコーテクノ
2022年03月01日時点の情報です。
メタルマスク営業 上岡淳史です。
今回実に半年ぶりとなる執筆となりまして…
皆様にしっかりお伝えできるよう気合を入れて頑張ります!
第11回となるコラムは「着脱式メタルマスク疾風の取り扱い説明」のみの予定でしたが、スペックについてお問い合わせをいただく事が多く今回は「着脱式メタルマスク疾風」の全貌を次回に取り扱いと2回に分けて徹底解説させていただく事にしました。
また、本コラムは今まで文字が中心でお届をさせていただいておりましたが、 今回は画像やデータをふんだんに使用してより見やすく情報をお届けしてみようという新しい取り組みを始めました。
着脱式メタルマスク疾風をこれから導入を検討されている方、既にお使い頂いている方どちらにも有益な情報になりますので是非ご覧ください。
1.なぜ着脱式フレーム「疾風」が開発されたか
お客様から多く頂く声として
- メタルマスクの保管場所がなく困っている
- 実装のイニシャル費用を少しでも安くしたい
上記を解決する方法として着脱式フレームの開発を検討
製品コンセプトとして
- 着脱作業に大幅な工数が掛からないこと
- 作業者によってテンションのバラツキが発生しないこと
- 通常コンビネーションマスク同等のテンションが長時間持続可能であること
このコンセプトを元にメイコーグループ内の技術部門と連携して開発し、
従来のアルミフレームの方式から着脱できるフレームの開発に成功、
省スペースと低コスト両方を実現致しました。
実際に製品化した疾風フレームは実は6号機で、
現在販売されているタイプは9号機の軽量化タイプとなっております。
現在のニーズ
10年目を迎える現在も保管スペース改善やコスト削減といったニーズがございます。
部品の入手難による影響
- 改版に向けた試作実装の増加
- 従来では一回限りで終わっていた試作品も長期間保管。
実装難易度の上昇による影響
- 知見のない部品の実装
- 極小部品との混載実装
- タイプ5クラスはんだを使用した実装
- 様々な種類の基板を使用した実装
一回のマスク作成で上手くいかない条件等も増えてきています。
上記の影響により
特に試作、評価、研究用途等の多品種少量生産にて、省スペース化の課題が更に増えてきているようです。
そんな昔も今もニーズに応えている着脱式メタルマスク疾風の、気になるスペックと特徴を以下にまとめました。
2.着脱式メタルマスク「疾風」スペック一覧
各種寸法 | フレームサイズ | メタルサイズ | 印刷可能エリア | ||||
標準枠サイズ | L600mm×W550mm×t30mm | 580x530 | 500x450 | ||||
アタッチメント取り付けによる 対応可能サイズ |
L650mm×550mm | ||||||
L736mm×W736mm | |||||||
L750mm×w650mm |
基本スペック | |||||||
テンション機構 | 特殊バネ方式 | ||||||
着脱方法 | 外部エア供給方式(空圧スイッチ切り替えによる取付け、取り外し) | ||||||
対応可能メタルマスク板厚 | 80µm~200µm | ||||||
フレーム重量 | 4.12㎏ ※参考:コンビネーション仕様アルミ(中空パイプ)枠重量 1.7kg | ||||||
SUS部重量 | 0.5㎏ ※開口数・板厚によって変動あり | ||||||
カラー | 白、青、緑 ※共晶・PbFでの使い分けも可能です! |
品質 | |||||||
メタルマスク伸縮率 | アルミ枠品と同等 | ||||||
着脱位置精度 | ±20μ以内 | ||||||
はんだ転写量 | アルミ枠品と同等 | ||||||
テンション値 | アルミ枠品と同等以上 |
10年目の実績 | |||||||
販売社数 | 150社以上 | ||||||
販売台数 | 500台以上 | ||||||
採用業種 | EMSメーカー、実装メーカー、等多品種少量生産のユーザーのご利用が多い。 | ||||||
採用理由 | 調達コストダウン、保管スペース削減を目的に採用拡大 | ||||||
生産比率 | 約50%が着脱式メタルマスク疾風での生産 |
3.着脱式メタルマスクの「特徴」
特徴 | |||||||
一定テンション | 機構内バネの弾性エネルギーにより管理、作業者によるバラツキ無し | ||||||
特殊バネ使用による長期間耐久 | 使用規格30万回迄、1日10機種、表裏実装、20日稼働計算で62年使用可能 | ||||||
安全面配慮 | SUSの鋭利な端面を折り曲げ、指先の怪我に配慮 | ||||||
ポカヨケ防止 | 取付け穴が左右非対称だから、表裏の取付け間違い防止 | ||||||
取付穴の耐久性アップ | 100µm以下の場合は補強版を必ず取付け | ||||||
リサイクル性良好 | SUS部のみで リサイクルが容易 | ||||||
互換性 | ㈱プロセス・ラボ・ミクロン、㈱ボンマーク と着脱式フレームの互換性有り | ||||||
1度のみ、着脱式仕様から枠付き仕様へ切り替えることができます。 ※有償 | |||||||
1度のみ、枠付き仕様から着脱式仕様へ切り替えることができます。 ※有償 |
テンション実験
■テスト仕様■
アルミ枠品 | 疾風品 | |||||
枠サイズ | 650mm×550mm×30mm | 650mm×550mm×30mm | ||||
メタルサイズ | 520mm×420mm | 580mm×530mm | ||||
板厚 | 120μm | 120μm |
■テスト方法■
- メタルマスク版中央に4㎏の重り(L300㎜・W500㎜・H50㎜)を置き、静荷重による不可を加える。
- 2時間放置状態をスキージ回数1000回相当と算出し、30000回までのテンション値変化を確認する。
■テンション実測結果■
※測定機器=メタルマスクテンションゲージ MTG-08A
※出荷基準値 0.90㎜
0 | 5000 | 10000 | 15000 | 20000 | 25000 | 30000 |
0.78 | 0.81 | 0.81 | 0.82 | 0.84 | 0.85 | 0.86 |
安全面
SUSの鋭利な端面を折り曲げ、指先の怪我に配慮。
取り付け面
取付け穴が左右非対称(表裏の取り付け間違い防止)
100μ以下の薄いメタルマスクには補強版を必ず取付ける為、耐久性があります。
環境面
2050年カーボンニュートラル グリーン成長に向けて通常の製品に比べてステンシル部のみでリサイクルが容易にできる事から回収されずに廃棄されてしまう事を防ぎ、再生資源としての活用が可能となります。
互換性
株式会社プロセス・ラボ・ミクロン、株式会社ボンマーク
上記2社のフレームと互換性がある為、異なる会社であっても着脱式を利用することができます。
着脱式仕様からアルミ枠仕様に張り替えることが可能です。
アルミ枠仕様から着脱式仕様に張り替えることが可能です。
アルミ枠との比較「メリット」
項目 | 内容 | ||||||
長期的なイニシャルコスト | 新規アルミ枠費用、張り替え費用が不要 | ||||||
マスク単価、納期 | アルミ枠に比べてコスト20%削減、作成時間も15%短縮で急ぎ案件にも対応。 | ||||||
保管スペース | 8㎜の専用ケースで2枚のメタルマスク保管が可能、樹脂製ケースでコンタミ問題も解消 | ||||||
テンション劣化 | 経年劣化による剥がれの影響なし |
長期的なイニシャルコスト
初回のイニシャルコストは掛かりますが、長期的な視点で考えた場合に
永続的に続く通常のアルミ枠費用+アルミ枠紗張り加工代に加えて
マスク剥がれによる、張り替え費用を気にする必要がありません。
ここ最近はアルミの材料の値上げなどもあり、アルミ枠の費用の値上げ等もございます。
マスク単価・納期
従来のアルミ枠付きのメタルマスクと違いSUS部をアルミ枠に接着する工程がない為、約20%のコストダウンが可能となります。
納期もアルミ枠付きと比べ作成時間が約15%短縮となり、お急ぎの際に活用できます。
通常メタルマスク製造工程
保管スペース
メタルマスクを専用の保管ケースへ収納ができます。
8㎜の保管ケースへメタルマスク2枚保管可能で、専用ケースは紙タイプ・樹脂タイプ・静電対策タイプの3種取り扱いがございます。
保管時も従来の保管庫を使用して保管が可能です。
ラベルなども貼り付けられるので探すのも簡単です。
実際の削減イメージ
Before After
30㎜アルミ枠×20版=600㎜ 0.8㎜保管ケース×10版=80㎜
テンション劣化
経年劣化によるマスクの剥がれや、洗浄液による剥がれ等の問題も着脱式であれば影響がございません。
アルミ枠との比較「デメリット」
取り扱い | メタルマスクのステンレス部分の取り扱いの為、打痕等のリスクがある。 | ||||||
段取り時間 | 外段取り作業(専用ケースからの取り出し・収納、フレームへの着脱)が発生する。 |
取り扱い・段取り時間
・各種作業時に打痕等を発生させてしまうリスクがあること
・段取り時間が発生すること
が挙げられます。
・保管ケースよりメタルマスクを取り出す作業、収納する作業
・メタルマスクをフレームに取り付ける作業、外す作業
が発生致します。
全ての作業時間を合計すると段取りにかかる時間は1分程となります。
各作業に関しては次回記載する正しい作業方法や取り扱いのコツをつかむことでリスクを減らすことができます。
いかがでしたでしょうか?
次回は着脱式メタルマスクの使い方のコツをお伝えさせていただきます。
ぜひともお楽しみにしていてください!
当社では基板実装におけるお客様の課題解決を目的とし、「本気のモノづくりに応える」を掲げながら日々のモノづくりに取り組んでおります。
東京、神奈川を中心に、おかげさまで最近ではモノづくりの本場、大阪や愛知からのお問い合わせも増えてきました✨
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