メタルマスクメーカーがメタルマスク内製について調べてみた|メイコーテクノ

2022年04月28日時点の情報です。

弊社コラム、《メタルマスクについて徹底解説》をいつもご覧いただき有難うございます。
第12回目となる今回は、大好評をいただいております「調べてみた」シリーズの第3弾としてまして、
「メタルマスクメーカーがメタルマスク内製化について調べてみた」をお届けします。

コラムを見ていただいている皆様の中には、
・これだけメタルマスクを買っているのであれば、その費用でメタルマスクを内製できるのでは?
・もっとタイムリーにメタルマスクをつくれないものか?
等々、お考えになられた方もいらっしゃるかと思います。
今回はそういったご検討をされる際の参考にしていただけるように、レーザー加工メタルマスクの内製化について
「ヒト」 「モノ」 「コト」に焦点を当ててまとめてみました。

それでは徹底解説を進めさせていただきます。
※下記にメーカーの紹介がありますが、コメントは各所に取材させていただいた内容を元にした私の個人的な見解です。
各メーカーへの忖度はありませんので、一つの目安として見ていただければ幸いです。


1.そもそもメタルマスクってどうやって作るの?

メタルマスクを内製するにあたり、まずは「どうやって作るの?」をご紹介させていただきます。
メタルマスクの製造は大きく分けて以下の工程で進んでいきます。

①データ受信・確認

②データ編集、加工データへ変換(CAM)

③レーザー加工

④表面研磨(バリ、ドロス取り)

⑤オプション処理 (壁面処理やコーティング、ハーフエッチング等)

⑥コンビネーション(SUS板を紗張り枠に張り付け)

上記詳細は過去のコラムで詳しくご紹介させていただいております。
是非こちらもご覧下さい。
【「メタルマスクの作り方」のコラム】

2.メタルマスク内製に必要な「モノ」

次に各工程で必要な「モノ」をご紹介させていただきます。

①データ受信・確認

→メール等のデータ受信環境とPC
これは各社様とも恐らく問題ないのではと思われます。

②データ編集、加工データへ変換(CAM)

→CAM編集ソフト
・ダイナトロン社『ステンシルCAM』

他にもシーエィディプロダクトの『CiCAM Metal』やCADソフトを使ったりするケースもありますが、ダイナトロン社の『ステンシルCAM』が痒いところに手が届く感じです。

【参考】基板製造用CAMソフト
・オルボテック社『InCAM Pro』

こちらも大日本スクリーン社製やステラコーポレーション社製などありますが、『InCAM Pro』が痒いところに手が届くようです。

CAMソフトはCADソフトでは表現が難しいそれぞれの「スペック確認」ができるところが大きな特徴ですね。

③レーザー加工

→メタルマスク用レーザー加工機
・LPKF社『StencilLaser』

メタルマスク加工の肝になる部分ですが、選択肢はあまり多くありません。
上記の他、イギリス製のTanlin社『TX-PROi』や中国製もありますが、上記LPKF社製のシェアが高いです。

ご予算はおおよそ5,000万円前後くらい(スペックや付加機能などにもよりますが…)を見る必要がありますが、1台あれば月に約500版前後の加工が可能となります。

④表面研磨(バリ、ドロス取り)

→研磨ラインを入れる事もできますが、サンダー等による手研磨を導入されるケースが多いです。

⑤オプション処理 (壁面処理やコーティング、ハーフエッチング等)

※⑤はかなり専門的な内容になりますので、今回は割愛させていただきます。

⑥コンビネーション(SUS板を紗張り枠に張り付け)

→紗張り枠はいろいろなところから購入できますが、紗張り枠にSUS板を張り付けるのにノウハウがあります…。
ただし、上記レーザー加工機にはメタルマスク枠の状態で加工できる機能があります。
既にSUSが張り付けてある紗張り枠を購入いただく、という回避策もあります。

上記の通り、メタルマスク内製に当たっては、レーザー加工(穴あけ)は設備導入により可能になりますが、次の「ヒト」も含め②と⑥をどうするのかが大きなポイントとなります。

3.メタルマスク内製に必要な「ヒト」

続いては「ヒト」についてご紹介をさせていただきます。
設備やソフトを導入しても、それを運用する「ヒト」が必要になります。
何版作製するかによりますが、最低限として編集:1名、加工:1名、後工程:1名が必要になります。

メタルマスクというとても特殊(ニッチ?!)な製品である為、経験者の確保はほぼ期待できません。。。
ヒト=人材への投資もとても大きなポイントです。

4.メタルマスク内製に必要な「コト」

最後に「コト」についてです。
ここまでの内容で、ある程度の設備・ソフトが揃えば内製は可能なのかなというイメージはもっていただいたのではないでしょうか?
しかしながら、では何のために内製するのか?といったところが一番重要になってくるかと思います。

そこで、メイコーグループ内で実装も行っている弊社の立場から、内製する事によるメリットと課題をQ,C,Dで考えてみました。
※内製に当たり、⑤の加工は行わない前提でお話をさせていただきます。

・メリット
Q:実装現場の課題をすぐにメタルマスク仕様に反映できる
C:外部への支払い削減
D:その場で加工、その場で実装現場に渡せる(どこのメタルマスクメーカーより早い!)

・課題
Q:軽薄短小が進む昨今、⑤が重要となってきますが、加工を行うには設備投資を始めハードルが高い
C:購入量の問題でメタルマスクメーカーが買っている材料費より高くなる可能性、設備・人財による固定費の増加
D:特に見当たりませんでした!

コストはもちろんの事、デリバリーに関するメリットは大いにありそうですね。
反面今後増えてくるであろう0603クラス、更には0402クラスへのメタルマスクの対応には課題を残します。


いかがでしたでしょうか。
今回は少し趣向を変えた徹底解説をしてみました。
皆様がメタルマスクを内製してしまうと、我々メタルマスクメーカーは活躍の場がなくなってしまうわけですが(汗)
そうならない理由、我々の存在意義を本コラムで少しでも感じていただけると幸いでございます。

当社では基板実装におけるお客様の課題解決を目的とし、「本気のモノづくりに応える」を掲げながら日々のモノづくりに取り組んでおります。

東京、神奈川を中心に、おかげさまで最近ではモノづくりの本場大阪や愛知からのお問い合わせも増えてきました✨
メタルマスクのことならメイコーテクノへお気軽にお問い合わせください。

次回以降は実際にお問い合わせをいただいた内容を元にした記事にしていければと考えております。
是非とも楽しみにしていて下さい!

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