半導体製造工程とメタルマスクについて
こんにちは、(株)メイコーテクノ 営業担当の山口裕之です。
私の記事は…かれこれ4ヶ月ぶりになってしまいました。
最近では「新米営業女子」コラムが好評で、私も負けるものかとモチベーションを上げているところです。
若手からの突き上げ…嬉しいですよね!
さて本題ですが、2025年10月8日~10月9日にマリンメッセ福岡で開催される「第2回 九州 半導体展」のメイコーブースに、我々メイコーテクノのメタルマスクを出展します。
半導体ねぇ
…
……
………なんか怖い(汗)
と思われたそこのあなた!そう、何を隠そう私がそうでした(笑)
九州 半導体展への出展と合わせまして、そんな皆様(私?!)のために、半導体製造工程の概要と、そこで使われるメタルマスクについてわかりやすくご紹介します。
それでは本題です。
1.半導体製造工程の概要
半導体の製造は大きく「前工程」と「後工程」の2つに分かれています。
• 前工程 (Front-End Process)
シリコンウエハーの上に、微細な電子回路を形成する工程です。
半導体の性能を決定づける心臓部であり、「自動車の高性能エンジン」そのものを作る工程に例えられます。
• 後工程 (Back-End Process)
ウエハーからチップを切り出し、製品として使えるように最終仕上げをする工程です。
「エンジンを車体に乗せ、一台の車として完成させる」工程に例えられます。
2.メタルマスクが使われる工程
後工程のパッケージングにおいて、チップと外部を電気的に接続する「はんだ」を正確に配置するため、
メタルマスクが不可欠な道具として活躍します。
その使われ方は主に2つです。
• ① クリームはんだの「印刷」
チップレット技術などで使われる、超微細な内部接続(マイクロバンプ)を作る際に用いられます。
メタルマスクをステンシル(文字や絵柄をくり抜いたシート)のように使い、穴からクリームはんだを刷り込むことで、高密度な接続パターンを一度に形成します。
• ② はんだボールの「搭載(整列)」
パッケージの外部接続端子となるはんだボールを、ウエハーやパネル上に一括で配置する際に用いられます。「ボール・ドロップ」方式で、何万ものボールを一度に完璧に整列させます。

お砂遊びでザル(=メタルマスク)に砂(=はんだボール)を入れて、ザルを揺らすと穴から落ちてくる様子…に近いかなと。実際の製造工程ではメタルマスクは揺らさないですけど。。。
3.WLP/PLPで大型化が進んでいる事
近年、後工程の生産性を飛躍的に向上させる切り札としてWLP(Wafer Level Package)やPLP(Panel Level Package)が注目されています。
これは、ウエハーやさらに大きな四角いパネルの状態で、数千個のチップのパッケージングを一括で行う技術です。
特に最近は、直径300mmのウエハーから、大型の四角いパネル(PLP)への移行が注目されています。
これにより、一度に処理できるチップの数が飛躍的に増え、劇的なコストダウンが見込めるためです。

半導体は基本四角いチップですから、数千個のチップを配置するためには○よりも□の方が効率が良い事は想像しやすいかと思います。
4.今後の技術シフト:ボール搭載から「印刷」へ
前記①②では、これまでは②はんだボール搭載が主流でした。
しかし、半導体の性能が向上し、接続部分の間隔(ピッチ)が40μm以下という極限の領域に突入すると、物理的にボールを一つずつ正確に置くことが困難になります。
そこで、この超微細・高密度な領域を攻略する唯一の手段として、「クリームはんだ印刷」への技術シフトが始まっています。
このシフトを可能にしているのが、「Type 7」や「Type 8」といった超微細なはんだペーストと、それを精密に転写するための高精度メタルマスクです。
タイプ | 平均的な粒子径 | 主な用途 |
---|---|---|
Type 4 | 20~38μm | 一般的な電子部品の実装 |
Type 5 | 15~25μm | ファインピッチ実装 |
Type 6 | 5~15μm | さらに微細な実装 |
Type 7 | 2~11μm | マイクロバンプ形成など |
Type 8 | 2~8μm | 次世代の超微細実装 |
これは、ボール搭載がなくなるという意味ではなく、AIプロセッサのような最先端分野では「印刷」が新たな主流になりつつある、ということになります。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。
半導体って勉強すればするほど奥が深いなと感じてきます。
技術の進化も目まぐるしく、約2年ごとに半導体の集積密度が2倍になるという「ムーアの法則」(参照:Wikipedia「ムーアの法則」)なんてものもあります。
そんな動きの早い半導体について、実際市場動向はどうなのか?どのような課題があるのか?、展示会場で生の声を聞いてきたいと思います。
※2日とも私山口が説明員として立っていますので、是非メイコーブースにご来場くださいませ。