基板実装のフロー工程とは?
2026年8月31日時点の情報です。
こんにちは、株式会社メイコーテクノ 営業担当の山口裕之です。
メイコーテクノのホームページでは、技術コラムをご覧いただいた方から「次はこのテーマを取り上げてほしい」というご要望をいただく機会が増えています。
前回のコラムにも、「スルーホールリフローについて知りたい」「リード部品をリフローではんだ付けする際のポイントを知りたい」というコメントをいただきました。
そこで本コラムでは、スルーホールリフローを理解する前段として、まずフロー工程そのものの基本と、現在の位置づけ、今後のトレンドを整理してみようと思います。
フロー工程は長年使われてきた工程である一方、条件出しや不良対策にベテランの経験が大きく関わる工程でもあります。
世代交代が進む現場では、そのノウハウを見える化し、再現できる形で共有することが重要になっています。
フロー工程って何?
フロー工程とは、基板の穴に挿入した部品のリードを、溶融はんだの波に接触させて接合する工程です。
主に挿入部品を対象とし、多数の端子をまとめてはんだ付けできることが特徴です。
なぜフロー工程が必要なの?
基板や電子部品の軽薄短小が進んでいる昨今、電子機器ではSMT実装が主流となっています。
ただ、機械的な強度が必要な部品、大電流が流れる部品、大型部品、高信頼性が求められる部品は、現在でも挿入実装が多く使われています。
そのため、実際の量産現場では「SMT工程+フロー工程」の組み合わせが一般的です。
フロー工程の流れ


フロー工程で最も重要な3要素
| フラックス | 少なすぎるとはんだが濡れず、多すぎるとボイドや残渣が増える。 |
| 熱 | 熱不足では穴上がり不足、熱過多では部品ダメージや基板変色が起こる。 |
| はんだ波 | 波が弱いと未はんだや穴上がり不足、波が強いとブリッジやつららが発生しやすい。 |
また、フロー工程では基板を安定して搬送し、不要な箇所への熱影響やはんだ付着を抑えるために、搬送パレットなどの治具も重要になります。
メイコーテクノでは、フロー工程用の搬送パレット作製にも対応しており、基板形状や部品配置に合わせたご相談が可能です。
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よく発生する不良
| 不良 | 状態 | 主な原因 |
| 穴上がり不足 | スルーホールの上面まで、はんだが十分に上がっていない。 | 熱不足、フラックス不足、はんだ接触不足。 |
| ブリッジ | 隣同士の端子がはんだでつながる。 | はんだ過多、波形不良、基板設計。 |
| つらら | はんだが垂れ下がって固まる。 | はんだ切れ不良、搬送条件不適。 |
| ボイド・ブローホール | はんだ内部に空洞ができる。 | 水分、ガス、フラックス過多。 |
リフローとの違い
| 項目 | リフロー | フロー |
| 対象 | SMT部品 | 挿入部品 |
| 熱源 | 熱風(炉内での加熱) | 溶融はんだ |
| はんだ供給 | はんだペースト | はんだ槽 |
| 得意分野 | 高密度実装 | 高強度接合 |
最近の技術トレンド
最近重要なのは、基板全体をはんだ波へ通す全面フローから必要箇所だけをはんだ付けする選択(局所)
はんだ付けへの移行です。
あわせて自動条件監視、自動補正、AOI検査、トレーサビリティ、AIによる不良予測や設備異常検知の活用も進んでいます。
参考にコラボしている龍城工業㈱で取り扱っている検査機を掲載しておきます。
AIを使った「ワンクリック簡単プログラミング」が特徴です!
フロー工程は将来なくなるの?
冒頭の「スルーホールリフローについて知りたい」でもあるように、巷では部品実装のSMT化が進められており、「フロー工程は将来無くなっちゃうんじゃないか?!」との声も聞こえてきますが…結論として、フロー工程はなくなりません。
ただし、全面フローから選択(局所)はんだ付けへ移行する流れは進んでいます。
フロー工程は、車載・産業機器・電源機器・通信機器・医療機器などでは、大型部品や高電流部品が残るため、今後も重要な工程です。
まとめ
フロー工程は、SMTだけでは対応しにくい挿入部品を安定して接合するために、現在でも重要な役割を持つ工程です。
特に大型部品、高電流部品、機械的強度が必要な部品では今後もフロー工程や選択はんだ付けの活用が続くと
考えられます。
フロー工程で押さえておきたいポイント
•フロー工程は、挿入部品を安定してはんだ付けする工程である。
•品質は「フラックス・熱・はんだ波」のバランスで決まる。
•代表的な不良には、穴上がり不足、ブリッジ、つらら、ボイドがある。
•リフローとフローは、対象部品と役割が異なる。
•今後は、全面フローから選択はんだ付けへの移行が進む。
•車載・産業機器・電源機器などでは、今後も重要な実装工程である。
💡一言で説明すると💡
フロー工程とは、挿入部品に対して、溶融はんだの波を利用して多数の接合を一括で行う実装工程です。
品質を安定させるには、フラックスの働き、接合部への熱の入り方、はんだ波との接触状態を一体で管理することが重要です。
次回予告:スルーホールリフローとは?
次回は、読者の方からご要望いただいた「スルーホールリフロー」を取り上げます。
スルーホールリフローは、リード付き部品をフロー槽ではなくリフロー工程ではんだ付けする考え方であり、メタルマスク開口、はんだペースト量、穴径とリード径、部品耐熱、ボイドや穴上がりなど、通常のフロー工程とは異なる注意点があります。
フロー工程の基本を踏まえたうえで、リード部品をリフローではんだ付けする際に何を確認すべきかを整理します。






メタルマスクメーカーなのにフロー工程の紹介があってびっくりです。
可能であればスルーホールにはんだを充填させるポイント等知りたいです。
リードに対する穴径(大、小どちらが有利?)、ランド径等。
きらめき様
いつも弊社コラムをご覧いただきましてありがとうございます。
また、コメントもいただきありがとうございます。
正直記事ネタになっているので大変助かっています!
>メタルマスクメーカーなのにフロー工程の紹介があってびっくりです。
→メイコーグループで実装工程を持っていますので、いろんなところから情報収集ができるのはこのコラムの強みですね!
>スルーホールにはんだを充填させるポイント等知りたいです。
>リードに対する穴径(大、小どちらが有利?)、ランド径等。
→実際には穴径・ランド径だけで決まるものではなく、「熱」「濡れ性」「穴形状」のバランスで決まるようです。
監修してくれたベテラン技術者曰く、穴もランドも大きすぎても小さすぎてもダメ、また、熱やはんだ等工程の管理も大事だよ!との事。
…奥が深いですね!もう一本記事が書けそうなので、今後の記事案に取っておきますね。
さて、次回コラムですが、きらめき様よりご提案いただいた「スルーホールリフロー」について書いていきます。
こちらもまた楽しみにしていただけると嬉しいです。