実装用治具について|メイコーテクノ
2023年04月27日時点の情報です。
こんにちは、㈱メイコーテクノ 営業担当の山口裕之です。
本コラムの毎月更新を行い、気が付けば今回で第24回目、ちょうど2年になります。
開始した当初はお客様の役に立つ情報が発信できるのだろうか?!と不安になっていたのが正直なところですが、
最近では「見てるよ」とか「新人教育に使っているよ」などなど、沢山のコメントもいただくようになり継続のモチベーションとなっております!
改めて継続する事は大切だなと感じております。
いつも弊社コラム、《メタルマスクについて徹底解説》をご覧いただき本当に有難うございます!
これからも「メタルマスク、如いては実装関連情報のハンドブックとなり得るツールを目指す」を掲げて、お客様のお役に立つ情報発信を心がけて継続致しますので、今後とも宜しくお願い致します。
さて、節目の第24回目となる今回は“実装用治具について”をご紹介させていただきます。
”治具”は英語でも”JIG”(語源は英語かららしい!)で世界共通の言語ですね。
そんな治具の中でも今回は、基板の実装に関わる治具にスポットを当ててご紹介をさせていただきます。
メタルマスク徹底解説なのに治具?と思われた方、是非続きもご覧くださいませ!
それでは徹底解説を進めさせていただきます。
1.そもそも治具とは
”治具”という言葉は非常に範囲の広い言葉で、Wikipedhiaでは「加工や組み立ての際、部品や工具の作業位置を指示・誘導するために用いる器具の総称」と表現されており、機械用語辞典では「金属を削る時に必要な装具」としての意味合いが一番一般的なようです。
そんな治具は、
・同一形状の製品ならば高度な熟練技術を用いずとも製品のバラツキを最小限に抑え、迅速に大量生産することを可能にする
一方で
・多品種少量生産においては多数の治具が必要になり、治具自体の生産コストによるデメリットがメリットを上回るケースも存在する
—引用 Wikipedhia「治具」
となっており、まとめると治具を使う事で品質・生産性に良い影響を与える一方、品質・生産性に見合った治具生産コストを考える必要がある、といったところでしょうか。
基板実装工程における治具の意味合いについても同様の意味合いとなり、メタルマスクもここの中に入ってきますが、
今回はメタルマスクとその他治具に分け、その他治具についてご紹介をさせていただきます。
2.基板実装工程における治具の種類と用途
上記の通り、治具は基板実装工程においても品質・生産性に良い影響を与える道具として使用されます。
ここでは基板実装各工程において、よく使われている治具とその目的をご紹介させていただきます。
【表面実装(SMT)工程】
目的 | はんだ印刷を安定させる為の基板受け治具、マウンタ用も可能 |
材質 | アルミ系推奨、導電性MCナイロンなど各種対応可能 |
その他 | 側面からのバキューム穴加工や吸着パッド取り付けなどにより、基板との密着を更に上げる加工も可能 |
依頼方法 | 印刷機(マウンタ)仕様書、メタルマスクデータ、基板データ、受け側部品情報(最大高さ・逃げクリアランス) |
バックアップブロックを使用しない場合は、印刷する反対側(基板裏面)の空いているところにピンを立てて基板を受けますが、軽薄短小が進む昨今、ピンで受けられる場所がどんどん少なくなってきております。
印刷時に基板をしっかり受けてあげないと、メタルマスクを使用した印刷にバラツキが出てしまいますので、特に沢山の枚数を印刷される場合はバックアップブロックの導入を強くお勧めします。
目的 | FPC・COF・フレックスリジット・薄型基板・個片集合基板など、基板単体では搬送が難しいものを搬送できるようにする |
材質 | アルミ、ガラエポ、マグネシウム、他 |
その他 | パレットの反りを抑制する「カーブレス処理」がおすすめ |
依頼方法 | 基板外形・厚み、、メタルマスクデータ、基板データ、受け側部品情報(最大高さ・逃げクリアランス)、作成予定枚数 |
パレットにはテンション保持タイプやシリコン保持タイプ、磁力保持タイプなどがあり、様々な用途に応じて選択が可能であり、
印刷からリフロー・検査まで一貫して使用できる搬送パレットが一般的です。
【フローソルダリング工程】
目的 | 混載実装でのSMDマスクやマスキング治具、反り防止 |
材質 | 耐熱ガラエポ(利昌工業さんのリコセルが多い)、アルミ |
その他 | 挿入部品の浮き防止や傾き防止の相談可能 |
依頼方法 | 基板外形・厚み、メタルマスクデータ、基板データ、受け側SMT部品情報(最大高さ・逃げクリアランス)、フローはんだ付けする箇所・しない箇所、作成予定枚数 |
パレットを使わずに搬送する事も可能ですが、その場合は実装済部品やはんだ付けしない箇所へのマスキングテープ貼り付けが必要となります。
貼り付け工数やその他狙いたい効果などを加味してご検討ください。
【組立工程】
※弊社ホームページ内「組立工程 プロセス治具」でご紹介しております。
・基板分割治具
目的 | 基板分割加工の際に生じる基板の回転や飛びを防止し且つ、切削屑の基板への再付着を防止 |
材質 | アルミ、その他相談可能 |
その他 | ルータ式及びスライサー式ともに、メーカーを問わず設計/製作が可能 |
依頼方法 | 分割機機種、基板外形、受け側部品情報(最大高さ・逃げクリアランス) |
基板捨て板を”パキ”で終われば良いのですが、特に複雑な形状の個片基板が面付された基板をカットする際にご検討ください。
・FPC切断治具
目的 | FPCをハンドプレスで分割 |
特徴 | 分割精度±0.2、刃を特注で製作することで分割精度UPが見込めます(オプション) |
・防湿剤・潤滑剤塗布治具
目的 | ロボット受け治具及びマニュアルコーティング治具ともに塗布禁止エリアのマスク |
特徴 | 製品浮き・傾き対策相談可能、塗布機メーカー問わず対応可能 |
・各プロセスロボット、その他各種アタッチメント治具やロボットのパーツ・ユニット
目的 | ネジ締め、はんだ付け、基板分割等の自動機対応 |
特徴 | ソフト&ボディ共通で各プロセスに対応 |
メーカー問わず対応可能、設計から制作まで対応可能、最良内容提案!
※こちらは弊社協力会社のPICSIS(ピクシス)にも詳しい情報が掲載されております。
是非こちらもご参照ください。
㈱PICSIS ロボット・マニュアル作業用プロセス
こうやって書き出してみるだけでも多種多様ですね!
弊社では「このような治具を作りたい」というご要望に対し、設計から対応する事も可能です。
お悩みや構想がありましたらお気軽にお声がけ下さいませ。
3.治具の生産について
治具はお客様社内で加工されたり、外部委託で生産されたりとなるかと思います。
こと基板実装用治具については、外部に委託されて生産するケースが多いのではないかと思います。
特に基板実装工程で一番最初に使うメタルマスクのメーカーにまとめて依頼を出すのが手っ取り早いとの事で、弊社にも沢山の引き合いをいただいております。
上記治具はお付き合いのあるメタルマスクメーカーでしたらおおよそ取り扱いがあるかと思います。
どこで作ったらいいのかな?と悩まれている場合は、まずはお付き合いのあるメタルマスクメーカーにご相談してみ下さい。
(もちろん弊社にも是非!)
いかがでしたでしょうか。
軽薄短小化が進む実装業界において、この先もどんどん基板実装の難易度が上がってくるかと思います。
そのような中で、上記治具含め、より良い品質を効率よく作っていくにはどうしたらいいか?
この辺を情報交換しながら良いモノづくりをしていけるといいですね!
当社では基板実装におけるお客様の課題解決を目的とし、「本気のモノづくりに応える」を掲げながら日々のモノづくりに取り組んでおります。
東京、神奈川を中心に、おかげさまで最近ではモノづくりの本場、大阪や愛知からのお問い合わせも増えてきました✨
メタルマスクのことならメイコーテクノへお気軽にお問い合わせください。
山口様 いつも楽しみにコラム拝読させて頂いております。製造に必須な治具についてよく判りました。毎回思うのですが非常によく纏っており、是非弊社の社内教育に使用させて頂きたいと思っております。
平塚の金様
コメント有難うございます。
いつもコラムをご覧いただき誠に有難うございます!
こうやって反響をいただけるとほんとに励みになります!!
今後動画も充実させていきますので、コラムと合わせてご活用いただけると幸いです。
今後とも弊社『メタルマスク徹底解説』を宜しくお願い致します。
山口様 コラム創設2周年おめでとうございます! 弊社HPも社員の文章作成能力向上を目的としてコラムを始めましたが5年間止まってます・・・
従って継続されている御社は素晴らしいと思います。さて今回のコラムにて学習させて頂いたのは「治具は英語でもJIG」。ビックリです!
このネタも是非使わせてください。治具と言えば過去御社に依頼しましたマグネットキャリアは弊社内で大好評でした。設計からご対応頂き難しいFPC実装もクリア出来ました。今後ともFPCの依頼がありましたら宜しくお願い致します。
平塚の金様
お祝いコメント有難うございます!
文章作成能力向上は…慣れですね。
私も能力があるとは思っていませんが、最初よりは良くなっている自信はあります(汗)。
続けられたのは「継続は力なり」を社長の名屋から学べたからかなと。「続ければ結果は出るから」と常々励ましてもらいました(笑)。
FPC実装でのマグネットキャリアありましたね!
マグネットキャリアは他治具に比べて初期費用は大きいのですが、何より楽なんですよね!
またご要望ありましたら是非お声がけ下さい。
今後ともコラム共々宜しくお願い致します。