面視について|メイコーテクノ
2023年05月29日時点の情報です。
はじめまして。こんにちは。㈱メイコーテクノ 手配・CAM編集担当の「奥脇忠幸」です。
弊社コラム、《メタルマスクについて徹底解説》をいつもご覧いただき有難うございます。
第25回目となる今回は“面視について”をご紹介させていただきます。
~前書き~
メタルマスクの製作を行う上で切っても切り離せない言葉が面視(メンシ)です。
揚げたてが一番美味しいわよね、ソースかけてっと…そりゃメンチ🧆💥!
あーー、あの人な。サッカーアルゼンチン代表のバロンドール…そりゃメッシ🇦🇷⚽!!!
そんじょそこらの辞書にはまず載っていないであろうこの言葉「面視(メンシ)」、
今回はそんな「面視」や「面視判断の難しさ」について解説させて頂きます。
それでは徹底解説を進めさせていただきます。
①面視とは
プリント基板には表裏を表す言葉として「部品面」「半田面」(※TOP面、BOTTOM面等呼び方は様々です)があります。
部品面を「部品面側から視た絵」を「部品面視」、半田面を「半田面から視た絵」を「半田面視」と呼びます。
この様に面視とは「どちらの面から視た絵なのか」を示す言葉です。
②「正面視」,「透視」とは
プリント基板は立体物です。表と裏があります。
基板現物を手に持ってひっくり返せば、先ほどまで裏だった面は表となります。
「基板を持って。裏返すと、ひっくり変える。」…当たり前ですね。
さて、基板にハンダを印刷する際は必ず、例外無く、印刷したい面を表にする様に配置し、
その「表にした絵柄」にドンピシャ合うメタルマスクを使用します。
表にハンダを印刷したら、次は基板をひっくり返して「今まで裏面だった面を表」にしてハンダを印刷します。
この「刷りたい面を表にした絵柄」を「正面視図」と呼んでいます。
メタルマスクは必ず、例外無く「正面視」で作成する事で表面にしたプリント基板と同じ絵柄となり、ハンダ印刷をする事が出来ます。
これに対して「正面視」を鏡に映した様に反転させた絵柄を「透視図(透面視図)」と呼んでいます。
この「透視」で作成した場合、基板の絵柄と合わず「不良品(面視間違い)」となります。
③ガーバデータとは
プリント基板を手に取ってどの角度から見ようとも「透視図(透面視図)」になる事はありません。
プリント基板をひっくり返せば必ず正面視図になる為です。
では「透視図(透面視図)」とは何なのでしょうか。
我々がお客様からご支給頂くものはプリント基板現物では無く、ほぼ「ガーバデータ」です。
(稀にプリント基板をご支給頂く場合もございます)
ガーバデータとは元々CAD設計した基板データを
・ルーター(基板外形)
・部品面パターン
・部品面レジスト
・部品面シルク
・半田面パターン
・半田面レジスト
・半田面シルク
…とCTスキャン画像のように「輪切り」にして各々出力したデータです。
多くの場合、ご支給頂くガーバデータは「部品面のデータも半田面のデータも部品面視」で出来ています。
これは「部品面も半田面も部品面側からしか視てないデータだよ」という意味です。
このガーバデータの作り方を「部品面透視(部品面から透かして視てますよの意)」といいます。
部品面からしか視ていないという事は、
・部品面パターン
・部品面レジスト
・部品面シルク
は正面視で出来ています。
一方、裏側の
・半田面パターン
・半田面レジスト
・半田面シルク
も部品面からしか視てない為、「部品面側から半田面側を透かして視た絵(透視図)」で出来ています。
半田面のシルクデータ文字は「部品面側から透かして視ている」為、鏡に映した様な「反転した文字」となります。
ガーバデータはPCに読み込むと2次元の絵で表示されます。
2次元の絵で立体物を表現せざるをえない為、「透視図」で裏側を表現しているのです。
④頂いた情報から面視判断を行う事がプロってもんだ!
ここまで
・プリント基板現物は「正面視図」しか存在しない。
・ガーバデータは「正面視図」と「透視図」が存在する事
を説明させて頂きました。
ご支給頂いたデータの面視を判断して必ず「正面視」になる様にメタルマスクを作成すれば良い訳です。
「面視の判断なんて簡単でしょ?
『部品面透視』て事は『部品面ガーバデータ=正面視』,『半田面ガーバデータ=透視』なんでしょ?
透視って分かってる半田面のデータを正面視に変えて作ればいいんですよね。」
世の中、このルールだけであれば面視判断は簡単です。
しかしそうではないのです…。
「ガーバデータは必ずしも部品面透視で出来ている訳では無い」のです…。
ガーバデータの作りとしましては
主に以下の3パターンがあります。
私の感覚で上から70%,28%,2%といったところでしょうか。
①部品面透視図(部品面=正面視、半田面=透視)
②表裏正面視図(部品面、半田面共に正面視)
③半田面透視図(半田面=正面視、部品面=透視)
ご支給頂いたガーバデータが上記①~③のどれに該当するのか。
何か証拠が無い限り分かりません。
そんな面視判断の重要な判断基準となる救世主…それが「シルクデータ(シルク図)」です。
シルクデータはアルファベットや数字で組み合わされた文字(リファレンス名)を基板に印刷する為のデータです。
この文字はプリント基板現物に「必ず正読出来る状態で」シルクスクリーン印刷されます。
このデータがあれば「シルクデータ文字が正読出来る状態=正面視」、「鏡文字になっている(反転している)=透視図」と判断出来ます。
勿論シルクデータが無い場合でも、「このお客様はガーバデータを必ず正面視で出力される」、
「このお客様はガーバデータを必ず部品面透視図で出力される」
と決まっていれば、それをデータベース化させて頂き判断する事もさせて頂いております。
問題は「シルクデータ無し」且つ「お客様の面視ルール無し」の場合です。
分かり易い面視判断材料(シルクデータ、規定面視ルール、お客様指示等)が無い場合、
「貫通穴の位置」や「基板外形の形状」等、面視判断となる証拠がどこかに無いか探します。
どうしても面視の判断の付く根拠が視つけられない場合、
最終的にはお客様にお問い合わせをさせて頂く事になりますが、
特に様々なデータを取り扱われている実装会社様の場合、設計元の会社様へ改めてお問い合わせを頂く事もあります。
~あとがき(まとめ)~
いかがでしたでしょうか。
是非ご注文の際はガーバデータでも、PDF図面でも構いませんので
面視判断の為に「シルクデータ(図)」や「基板裏表の写真(シルク文字が分かるので面視判断が出来ます)」が御座いましたら
メタルマスクデータと一緒にご支給頂けると幸いでございます。
東京、神奈川を中心に、おかげさまで最近ではモノづくりの本場、大阪や愛知からのお問い合わせも増えてきました✨
メタルマスクのことならメイコーテクノへお気軽にお問い合わせください。
当社では基板実装におけるお客様の課題解決を目的とし、「本気のモノづくりに応える」を掲げながら日々のモノづくりに取り組んでおります。
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奥脇様 今後私が「面視」と言う言葉を見たり聞いたりすると、メンチカツとメッシ選手を必ず思い出す事でしょう(笑)
さて今回(25回)も私たちユーザーにとりましては大変重要なコラムでした。投稿有難うございました。確かに面視判断を誤りますと使用出来ないメタルマスクとなってしまいますね。又ガーバデータも必ずしも部品面透視で出来ている訳ではなかったのですね・・・。面視判断って本当難しいのですね・・・。今後は弊社お客様に本コラムの内容を伝え面視判断が容易に出来るガーバデータをご支給頂ける様に依頼して行きたいと考えます。
平塚の金さん様
嬉しいコメント有難う御座います。
このテーマは新人教育をしていても必ず「山場」となる様な難しい話でしたが、
平塚の金さん様のコメントから、ちゃんとお伝えする事が出来たことが分かり、安心致しました。
今後とも弊社メタルマスクをよろしくお願い致します。