えっ?!メタルマスク保管コストが67%削減??~メタルマスク保管場所改善事例~|メイコーテクノ

2024年8月1日時点の情報です。

こんにちは、㈱メイコーテクノ 営業担当の山口裕之です。
弊社コラム、《メタルマスクについて徹底解説》をいつもご覧いただき有難うございます。

最近メイコーテクノ公式X(旧Twitter)が始まったのがキッカケで、私も情報をXで探し始めてはみたのですが、基板や基板実装の情報はとっても少なく、メタルマスクの情報はほぼ無いんですよね。
(私の探し方が悪い…?!)
基板や基板実装は、個人や趣味でやられている方、有名なYoutuberのイチケンさんのポスト(つぶやき)はチラホラ見かけ、「フィレット」「コンデンサ」なんて言葉を見かけてはちょっとテンションを上げている今日このごろ。
X含め、メタルマスクひいては基板実装に関わる情報をもっともっと充実させていきたいなと改めて感じました。

さて、そんなネットやSNSでは見かけない(?!)メタルマスクなのですが、倉庫の中では存在感が抜群です!
営業活動していて「メタルマスクって邪魔ですか?」の問いには90%以上のお客様が「そうそう、邪魔だね」のご回答をいただきます。
メイコーテクノのメイン商材であるメタルマスクは邪魔者である…何か悲しい響きじゃないですかww

しかし、そんなお声があるからこそ、課題を解決すべくいろいろな開発を行ってきて今に至っておりまして、
ちょうど7月に省スペースメタルマスク枠「楽枠」を新たにラインナップに加えましたので、
新商品情報を含めてメタルマスクの保管場所改善事例をメリット・デメリットを踏まえてご説明できればと思います。

それでは徹底解説を進めさせていただきます。

1.メタルマスク保管の現状

メタルマスクは何よりデカい!!
日本で一番メジャーなメタルマスクサイズ横650mm×縦550mmのものが全体の7割超であり、厚みは一般的には30mmです。


(海外だと更に一回り大きく、736×736mmサイズで29inch枠とも呼ばれています!)

メタルマスクを使われている皆様は、これを写真のように保管棚などに立て掛けて保管されているかと思います。


そうすると保管場所は小さく見積もっても、1版辺り横550mm×30mmで16,500m㎡の保管場所を必要とします。
これが毎月10~20版増えていきますから、165,000m㎡~330,000m㎡(0.165㎡~0.330㎡)の保管場所を毎月失っていくわけです。

ちなみに会社がある神奈川県大和市の地価を22万4484円/m2(参照:土地価格相場が分かる土地代DATA )とした場合、
毎月約37,000円~74,000円、年間で44万円~88万円がメタルマスクの保管だけで吹っ飛ぶ計算になります…。
新規で起こすメタルマスク10版~20版の積み重ねだけでこれだけ掛かるので、これを例えば1,000版常時保管されていると…約8倍(350万/年~)の保管料となっていまいます。
これが場所代=固定費になるので…とても経営者泣かせですよね!
(駅近やもっと都会になると更に地価は上がってきます!)

これがメタルマスクが邪魔者扱いされる所以で、これらの課題を解決するべく、様々な省スペースメタルマスク枠が開発されてきました。

次でメイコーテクノのスペースメタルマスク枠ラインナップと合わせて、それぞれのメリットとデメリットをご説明させていただきます。

2.薄枠タイプ省スペースメタルマスクのメリット・デメリット

当社メイコーテクノ「MSPフレーム」がこれに該当します。
上記で記載した一般的サイズ(650×550mm)のメタルマスクの厚みを30mm→5mm(1/6の厚み)にしたものです。
面積だと従来の30mm厚のメタルマスク枠に対して83%削減になります!大きな変化ですよね!!
メイコーテクノの場合は、約20年前に本商品がラインナップに追加され、主に試作系のお客様に飛ぶように売れていました。

その他のメタルマスクメーカーでも5mm厚の省スペースメタルマスク枠をラインナップしているところが多いので、メタルマスクメーカー選定の際には選択肢に困りません。

ここまで聞くと”ええやん!”とおもわれるかもしれませんが、デメリットもあります。。。
それは…薄さ故にアルミ枠が反るんです。
メタルマスクはSUSの部分が太鼓のように張られ(テンションをかけ)ていて、その引っ張る力にアルミ枠が負けてしまう為に反りが起きます。
この反りを抑制する為に、スペーサーを兼ねたベースフレームとネジ止めする事でこの反りを矯正してあげるわけです。

ただ厳密に言うと、ネジ止め着脱毎の張り具合(テンション値)には少なからずバラツキがあり、このバラツキが約20年前であれば、
メインのチップサイズも1608あたりが多かったので影響は少なかったのですが、軽薄短小が進む昨今ではこの差がクリームはんだ印刷品質に影響があるのでは?とのご指摘が増えてきているというのが現状です。

あとはネジ止めが8箇所…手で締めると約120秒/版の取り付け時間が掛かるので…これが結構大変なんです(汗)
クリームはんだ印刷機のクランプの抑えるチカラを使ってネジ止めレスで使っていただいているお客様もいらっしゃるので、このへんはご使用の際に検証いただければと思います。

3.SUS着脱式タイプメタルマスクのメリット・デメリット

そこで現れたのがある枠部分を治具化して、SUSの部分を着脱するタイプです。
当社メイコーテクノ「疾風(ハヤテ)」がこれに該当します。
これの最大のメリットは、SUS部分のみを専用のケースに入れて保管(2版/ケース)するので、厚みが60mm→8mm(1/8の厚み)になる事です!
面積だと従来の30mm厚のメタルマスク枠に対して87%削減になります!長細い面積なので、厚みの影響はとても大きいですね!!
これに加えて疾風は、SUSを枠に貼り付ける工程が無くなりますので、メタルマスク作成費用のコストダウンとなり、ランニングコストも抑えられますが、
反面アルミ枠を治具化しているので、初期費用として治具フレーム購入が必要となります。
MSPのデメリットであった着脱毎のテンション値のバラツキも、この疾風であれば一定に保つ事が可です!

ただ、このSUS着脱タイプは供給できるメタルマスクメーカーが限られていて、主に弊社メイコーテクノと疾風の互換品を作れるプロセス・ラボミクロン、ボンマーク(疾風タイプに関するURL無し)、
疾風とは別の機構を採用しているサン工芸の「オリジナル着脱枠システム」が主な選択肢となります。
基板実装品質の多くを占めるメタルマスクですから、BCPの観点からいくと、互換品を作れるメーカーが存在している疾風仕様一択になろうかと思われます。

こちらにもデメリットがあって…それは厚さ0.12mm前後のSUS板を取り扱う事によるハンドリングの難しさと、着脱する作業がお客様で発生してしまう事です。

指先で持つのがコツですが、手のひらで持ってしまうとすぐ打痕となり、打痕場所によってはクリームはんだ印刷品質の低下となってしまうので注意が必要です。
またSUSを取り付けた際の重量も約4kgと通常30mm厚のアルミ枠タイプに比べて約2倍の重量があり、初めて持っていただくお客様には「毎日筋トレww」と言われた事があります。。。

省スペースメタルマスク枠の中で一番省スペースで、かつローコストではあるものの、デメリットの部分も正直目立つので好みの分かれる商品かと思います。

4.新商品『楽枠について』

・疾風のデメリットはSUS板取り扱いの難しさ
→じゃあアルミ枠タイプだったら楽だね!!
・でもMSPのデメリットは薄さ故の歪みの発生、では歪まない枠の厚みは??
→実験の結果10mm!!
・じゃあネジ止めいらないよね??
→10mmのメインフレームとスペーサーのベースフレームを重ねるだけ。楽!!

…という事で楽枠が完成しました!(完成までにいろいろ紆余曲折がありましたが…それを書き出すと1年分のコラムくらいのボリュームになるのでww割愛しますね。)
お察しの通り、メタルマスクの厚みを30mm→10mm(1/3の厚み)にしたものです。
面積だと従来の30mm厚のメタルマスク枠に対して67%削減になります!

こちらは今までの商品のデメリットになる部分をできるだけ取り除いたので、大きなデメリットはありません。
あえて挙げるのであれば、省スペースメタルマスク枠の中では一番厚みがあるというところかなと。

省スペースメタルマスク枠のラインナップでは、一番バランス感覚が優れていて使いやすい商品かと思います。

5.省スペースメタルマスクの今後

上記でご説明させていただいたように、特に我々メイコーテクノは多品種や試作系のお客様が多いので、省スペースメタルマスク枠の開発には非常にチカラを入れてきました。
私の小さな脳みそでは、もう出尽くしたんじゃないか?!と思えるくらいです(引き続き開発には頑張ってもろて。。。)

ただ、基板実装ではよく”内段取り””外段取り”というワードが出てきます。
そういう意味では今までは全て外段取り(クリームはんだ印刷機にセットする前に行う作業)となっています。
最近ではクリームはんだ印刷機に「メタルマスクチェンジャー」の付いた機種も出てきています。
今は”メタルマスク”を自動供給する仕組みだけですが、今後はクリームはんだ印刷機内で着脱ができるような機種も出てくるかもですね!
この辺は装置メーカーさんと情報交換をしてみたいところです!

あと究極論としてはメタルマスクレスですかね。
MYCRONICさんがジェットプリンターをラインナップしていて、
JPCAショーやネプコン展ではよく気になって拝見させていただきます…だって”メタルマスクレス”ですからね(汗)


いかがでしたでしょうか。
いずれにしても、クリームはんだの印刷は基板実装品質の多くを占めることには変わりはありません。
メタルマスクは単純な商品に見えて、ものづくり品質を上げる取り組みはまだまだ出来る事が沢山あります。
これからもお客様の抱えている課題と先々のトレンドに目を向けながら、どんどん開発を進めていければと考えています!

当社では基板実装におけるお客様の課題解決を目的とし、「本気のモノづくりに応える」を掲げながら日々のモノづくりに取り組んでおります。

東京、神奈川を中心に、おかげさまで最近ではモノづくりの本場、大阪や愛知からのお問い合わせも増えてきました✨
メタルマスクのことならメイコーテクノへお気軽にお問い合わせください。

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