メタルマスクの作り方|メイコーテクノ

メタルマスクの作り方

こんにちは、(株)メイコーテクノ 営業担当の山口裕之です。

いつもご覧いただきまして有難うございます。

お陰様で大変ご好評をいただいておりまして、掲載させていただいた記事を後日メールマガジンで配信させていただく予定でございます。今後ともご贔屓いただけると幸いです。

今回は「メタルマスクの作り方」についてご紹介させていただきたいと思います。

1. メタルマスクについて(おさらい)

まずは今までのおさらいとなります。
メタルマスクとは、プリント配線板の指定位置にクリームはんだを塗布する為の「版」であり、自動車や電子機器製品に多く使われている電子回路基板製造には欠かせない製品です。
簡単に言うとSUS等の薄い金属の板に穴を明けた製品ですが、プリント配線板に電子部品を搭載(部品実装)する際の品質に大きく影響する為とても細かい管理が必要になります。
以下でその具体的な作り方をご紹介させていただきますが…
一万円札と同じ位の薄さの板に(100μm)1mm以下の無数の穴をあけて、サランラップの厚み分(20μm)の調整を行い、この季節悩みの種である花粉1/6個分の大きさ(5μm)の公差を検査するといったとても細かいものを見ながら制作しております!
是非この辺も意識しながら読んでいただけると幸いです。

2. ご支給データの受け入れ(確認、ご提案、お見積)

メタルマスクは一般的にはガーバーデータ(プリント基板の設計や製造で使用されるファイルフォーマットのひとつ、Wikipehiaより一部抜粋)から作成します。
DXFデータからODBデータからの作成も対応しております。
エッチング法でメタルマスクを作成していた頃は、フィルムをお預かりして作成…なんて時代もありましたので、技術の進歩は目覚ましいですね。

メタルマスクの製造には基本的に以下のデータが必要になります。
・メタルマスクデータ(=プリント基板のランド) … メタルマスクの穴データ
・シルクデータ(=プリント基板に印字される文字) … メタルマスクの表裏判断
・基板外形データ(=基板の外形) … メタルマスクの穴位置を決める

※上記無くても製造する方法はいろいろありますので、足りない場合でもメタルマスクメーカーに相談すれば何とかなる場合もあります。

【メタルマスクデータがなくても大丈夫!】

こちらの工程では、ご支給いただいたデータに不足が無いかを確認したり、開口幅と板厚のバランスでより良い条件をご提案したり、お見積を発行したり…とメタルマスク制作の窓口となります。
モノづくり以外の部分でも短納期を心掛けておりますので、何なりとお気軽にご相談下さいませ。

【早いのは納品だけではないんです!】

3. データ編集(開口補正、加工データへ変換)

2.で受付をさせていただいたデータをご指定(もしくはご提案)通りにデータを変換する工程になります。
CAMと呼ばれる専用のデータ編集ソフトを使用して基本的には人が作業をしますので、どうしても間違いが起きやすい工程です。
ただしここが腕の見せ所!弊社ではシステム化を推進する事でミス発生を低減させ、かつ工数を減らす事でよりお安く提供する取り組みを行っております。
【システムを活用したご提案体制】

編集作業が終了したら、レーザー加工機で使えるデータに変換します。
ここまででメタルマスク制作のおおよそ半分の時間を要します。
近年軽薄短小が進み、編集作業もより高度になってきており、要する時間も増える傾向にあります。

4. レーザー加工

3.で作成したデータを使用してメタルマスク専用のレーザー加工機でSUS板に穴を明けていきます。
近年はファイバーレーザーという超高品質な光源を搭載したメタルマスクレーザー加工機が出ており、メタルマスク品質底上げに大いに貢献しています。
実はレーザー加工というのは、ガンダムのように(世代がわかってしまう…)ビームが「線」で出ているのではなく、「点」で出ているのは意外と知られていない所です。
わかりやすい例えとして、ミシンで四角い穴を形成するイメージが近いです。
点を連発して穴を形成するので、メタルマスク壁面には点で穴を明けた際の縦条痕が残ります。

【ファイバーレーザー加工 ML】

この縦条痕やバリ・ドロスをどう制御するのか、が各メタルマスクメーカのノウハウとなります。

5. 表面研磨(バリ、ドロス取り)

レーザー加工は超高温で焼き切っているので、裏側にはバリやドロスが発生します。
この工程では、レーザー加工で発生したバリやドロスを除去します。
当社では基板製造用の研磨設備を使用し、いくつもの種類の研磨ロールを組み合わせて最適な表面研磨を自動で行っております。

6. オプション処理

5.の後に更に表面や開口壁面等に処理を加えて、より高品質・高精度なメタルマスクに仕上げる工程です。
メタルマスク各社でノウハウが詰め込まれており、メタルマスク製造時のオプションとして必要に応じて選択していただくケースが多いです。

オプション処理には大きく分けると「付ける」と「削る」処理があります。
「付ける」処理

・撥水処理

「削る」処理

・SF処理

・UF処理

・CoCo処理

・ハーフエッチング処理

各処理についての詳しいご案内は、別のコラムにてご紹介させていただきます。
是非ともご期待下さい。

7. 後工程

ここからは、通常のアルミ枠タイプと着脱式含むSUSのみタイプで工程が分岐します。
 7-1. コンビネーションメタルマスクの場合(コンビネーション)
 レーザー加工で穴を明けたSUS板を「紗」と呼ばれる樹脂メッシュが張られたアルミ枠に専用接着剤で貼り付けます。
 貼り付けは転写法という特殊な方法で行われ、紗のテンションをSUSに転写する事で、貼り付け後にピンと張った状態となります。
 ここがメタルマスク品質のキモの1つで、数値管理をし、毎回決められた張り具合に仕上がるようコントロールしております。

 7-2. 着脱式メタルマスク『疾風』の場合(端面折り曲げ)
 着脱式の場合は、穴を明けたSUS板をお客様の方で専用フレームに取り付けていただくので、アルミ枠への貼り付けはありません。
 代わりに薄いSUSの状態でお届けするので、ケガ防止の為にSUS板端面の折り曲げ加工を実施しております。

【着脱式メタルマスク『疾風』】

8. 梱包・出荷

上記で制作した製品を専用資材で梱包し、基本的には宅急便での出荷となります。
ヤマト運輸や佐川急便となりますので、早ければ出荷後翌日にはお届けとなります。
弊社工場から立地が近いお客様には、超短納期対応のサービスも実施しております。

9. 品質向上、自動化への取り組み

上記が出来上がるまで様々な検査を行い品質の維持に努めております。
検査も「何重も厳重に」ではなく、自動化を念頭に置いてミスが起きにくくする取り組みを行っております。

【自動化の取り組み】

近々会社案内動画をアップ予定です。
この辺の取り組みが上手くつたわるようにまとめております。
完成しましたら別途ご紹介をさせていただきます。


いかがでしたでしょうか?

工程が7つと短い為、超特急で作れば最短で当日のご依頼→当日出荷も可能となります!
(工場のヤリクリは大変ですが 笑)

短い工程だからこそ、細かいところで違いが出てきます。

当社では基板実装におけるお客様の課題解決を目的とし、日々「本気のモノづくりに応える」を掲げながら日々のモノづくりに取り組んでおります。

次回は「メタルマスク製造メーカーについて」を紹介させていただきます。
当社もメタルマスクメーカーですので…メタルマスクメーカーがメタルマスクメーカーを紹介する歪な形にはなりますが、フラットな目線でご紹介させていただく予定でございます。
是非とも楽しみにしていて下さい!

弊社コラム《メタルマスクについて徹底解説》をいち早くお届け♪
メルマガ配信登録はこちらから↓

    お問合せ

      コメントを残す