メタルマスクの歴史|メイコーテクノ

メタルマスクの歴史

こんにちは、(株)メイコーテクノ 営業担当の山口裕之と申します。

前回は初めての配信という事で、そもそも「メタルマスクとは?」についてご紹介をさせていただきました。

今回は「メタルマスクの歴史」についてご紹介させていただきたいと思います。

メタルマスクの歴史

電子部品を基板に実装する際に使用する治具であるメタルマスクは時代に合わせて様々な進化を遂げております。
メタルマスク進化の歴史は、基板表面実装(SMT)の歴史と密接な関係があります。
基板表面実装は1960年代に開発(引用元:Wikipedia)され、現在では電子回路を持つほとんどの製品で採用されています。
この基板表面実装のクリームはんだ印刷工程で基板にクリームはんだを印刷する為の治具としてメタルマスクが使われるようになりました。

メタルマスクの製法と進化

メタルマスクの製法には主に

・エッチングメタルマスク
・レーザーメタルマスク
・アディティブメタルマスク

の3種類があります。

各メタルマスクの特徴を以下に記載しておきます。

・エッチングメタルマスク
1980年代~
チップサイズ 3216~1608
エッチングメタルマスクは「エッチング液」という化学薬品で溶かして穴を明ける工法で、低価格、短納期というメリットは有りますが、製法上どうしても壁面(穴の内側)に凸(サイドエッジ)ができてしまい、ファインピッチの印刷には不向きです。
ファインピッチ化に伴い、次のアディティブメタルマスクが主流になります。

・アディティブメタルマスク
1990年代~
チップサイズ 1608~0201
アディティブメタルマスクは金属メッキを積層させて板や穴を形成する工法で、開口壁面はとても平滑 (ツルツル) 性が良く、ファインピッチの印刷には最良です。
ただし、前に記載した3種のメタルマスクの中で最もコストが高く、納期も掛かります。
2000年台に入り、ファインピッチ化と同時に短納期化が進むようになり、次のレーザーメタルマスクが主流になります。

・レーザーメタルマスク
2000年代~
チップサイズ 1608~0402
現在ではメタルマスクの中で最も流通量が多いメタルマスクで、上記2種の良いとこ取りをしたのがレーザーメタルマスクになります。
メタルマスクデータを読み込ませたメタルマスクレーザー加工機から照射されるレーザービームの熱によって穴を明ける工法で、開口精度や板厚精度に優れており、最近のものはファイバーレーザーと呼ばれる高品位レーザーを使用する事でクリームはんだの抜け性も良くなっています。
更には、高品位レーザーに加えて様々なオプション処理を施す事により、更なるファインピッチ印刷に対応できるようにする事も可能です。

【メイコーテクノレーザーメタルマスク 基本スペック】

レーザーメタルマスクのオプション処理について

レーザーメタルマスクのオプション処理は、大きく分けて「①削る」か「②付ける」かの
2パターンです。
① 「削る」メタルマスクオプション処理
・表面平滑化処理
レーザー加工時に出るバリやドロスを除去し、メタルマスク表面を平滑にする処理です。
バフなどの物理研磨や酸等による化学研磨が主で、最近はメタルマスク製造時に標準付与されることが多くなっております。
・壁面平滑化処理
電解研磨(電気を通した液の中にメタルマスクを入れて溶かす処理)に代表される、開口壁面を平滑(ツルツル)にする処理です。1005クラス以下の電子部品が搭載されている基板が
増えてきた昨今、処理を施すメタルマスクの割合が増えてきました。
【メイコーテクノ 壁面平滑化「SF処理」】
・ファインピッチ部品や小サイズ部品実装など、幅広い印刷で効果を発揮

【メイコーテクノ 壁面平滑・開口エッジ鋭角化「UF処理」】
・0603クラス以下の高難易度印刷に最適

② 「付ける」メタルマスクオプション処理
・撥水・撥油コーティング処理
メタルマスク表面に撥水・撥油性の膜(膜厚はサブミクロンクラス)を形成させる処理です。
メタルマスクに撥水・撥油性を持たせることで、クリームはんだの中の油成分をはじき、
メタルマスクによるクリームはんだ印刷後の洗浄性を上げ、連続印刷時のはんだ転写量を安定させる効果があります。
また、開口壁面にも撥水・撥油性を付与する事で、上記はじき効果により、クリームはんだの抜け性も向上します。

・ハーフエッチング処理
上記エッチングメタルマスクと同様で、エッチング工法によりメタルマスク表面の一部
もしくは全体を削る事で、メタルマスク表面に凹もしくは凸をつくり、メタルマスク1版の中に複数の厚みを持たせるようにする処理です。
これにより、はんだ量が沢山必要な大きな電子部品とファインピッチ印刷が必要な小さな電子部品を搭載した大小部品混在基板の印刷に対応できるようになります。
【メイコーテクノ 「撥水処理」】
・メタルマスクに撥水・撥油性を付与、量産などショット数の多い印刷に有効

メタルマスクの今後

このように、商品の軽薄短小の流れの中で、メタルマスクは様々な変化を遂げてきました。
ここ5年は1005サイズクラスの電子部品が主流でしたが、もうすぐすれば0603サイズクラスの電子部品(部品全長0.6mm!!)が主流になってきます。
メタルマスク自体も様々な開発が進められ、時代のニーズに合わせる努力が進められております。
一方でメタルマスクレス(プリンタやディスペンサを使用したクリームはんだ印刷)の開発も進められており、ファインピッチ印刷にも対応しつつあります。
ゆくゆくはメタルマスクが不要な時代がくるかもしれませんね。


いかがでしたでしょうか?

基板(PWB)が開発されたのが1930年代、表面実装(SMT)の工法が開発されたのが1960年代となります(Wikipediaより抜粋)ので、これらに比べればまだまだ歴史の浅い商品・工法となり、まだまだ進化していくと思われます。

我々もこれらの進化を先取りできるよう開発を進め、お客様のお役に立てるご提案ができるよう心がけております。

詳しくはこちらに記載させていただいておりますので、こちらも是非ご参照下さい。

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